<代表対談><br>~起業に必要なもの~<br>ファインドスターの軌跡 Vol.3

<代表対談>
~起業に必要なもの~
ファインドスターの軌跡 Vol.3

  • ファウンダー/株式会社ファインドスターグループ代表取締役

    内藤 真一郎

    株式会社ファインドスター 代表取締役

    渡邊 敦彦

第三回 渡邊さんの入社からワンスターの創業前夜まで

 

-渡邊さんは、比較サイトの運営サービスが始まった2005年の入社ですよね。

渡邊:比較サイトが始まったのが5月だと思いますが、その年の10月入社です。2004年に大学を卒業して1年間フリーターをしていました。自営業の家庭で育ったので、自分も起業したいという思いがあり、しかし何をやっていいか分からないという状態で。就職活動も途中でやめ、海外に逃げて戻ってきて、日雇いのバイトで食いつないで……これはだめだと。起業に向けて、まずはちゃんと就職しようと考えたときに出会ったのがファインドスターでした。募集要項に「起業家輩出企業ファインドスター」って書いてあったんですよ。え、そんな会社あるんだ??って(笑)。

-まさしく渡りに船ですね。入社して、まずどんな仕事をしたのですか?

渡邊:同封広告の営業を担当しました。ちょうど比較サイトに問い合わせが殺到していたんですよ。広告主からも広告代理店からも。月に何件くらいきてましたかね?

内藤:400件くらいきていたと思う。40も50もサイトがあったからね。

渡邊:当時はファインドスターもまだ小さい組織で、僕が18人目の社員だったのですが、当然、研修などないですし、初日から問い合わせの対応をしていました。先輩方は既存のクライアントを持っているので忙しいですから、新規の案件は新人に集中するわけです。何も分からない状態で1日に10件から30件くらいの問い合わせをばんばんさばいて。

-どんな問い合わせがあるのですか?

渡邊:ターゲットを絞ったメディアに広告を打ちたいという問い合わせですね。例えば「60歳以上で都市圏在住の男性に向けて広告を打ちたいんだけど、リーチできるメディアを提案してほしい」というような。それが毎日くる。土日を挟んだら、月曜日にはすごい数になっていて。

-そうしたニーズがすごくあったのですね。

渡邊:そうですね。ただ、社会人になりたてなので、そのすごさがよく分かっていなかったです。とにかく忙しくて。同じようにベンチャーで広告業をやっている人と仕事の話をしたときにうらやましがられて驚きました。自分たちは一生懸命電話でお客さんを獲得しようとしているのに、お前はほっといてもくるんだろう? それはすごいことだよ!と。そこで初めて、あぁこれはすごい仕組みなんだなと気づいたわけです。ずいぶん後になっての話ですが(笑)。

-その膨大な問い合わせに、どう対応したのですか?

渡邊:初めは先輩に聞きながら1つ1つ丁寧に返していました。でも、いつまで経っても仕事が終わらない。これではだめだということで、徐々に創意工夫し始めるんですよ。返信するメールを定型で作り、1日に何十件も問い合わせがあると、ある程度パターン化できるので、Aというパターンがきたらこの資料のセットを送ろうとか。

そうするうちに、こういう問い合わせは会いに行った方がいいなとか、こういう問い合わせは会いに行っても仕事にならないなということがだんだん見えてきて。それまでは何も考えずに会いに行っていたところが、目利きができるようになって効率化されました。こういうことを短期間でめちゃくちゃ学びました。すごく勉強になりましたよ。

-その成長スピードは、はたから見ていた内藤さんにも感じられたのでは?

内藤:感じました。このあと渡邊は2008年に株式会社ワンスターを設立するわけですが、そこでの成長スピードにも驚かされました。僕がファインドスターで7年かけて売り上げ2億だったのが、ワンスターは2年くらいで2億にいったかな? 10億なんて4年くらいで到達した。ファインドスターは10年以上かかっていますからね。

-ワンスターの話題になったところで、設立の経緯を教えてください。2008年というと、まだ入社3年目ですよね。

渡邊:実は、2年でファインドスターを辞めてるんです。当時、徐々にクライアントを持てるようになってきていて、その中の1社に通販会社があり、その会社との出会いが非常に大きなターニングポイントになりました。社員5~6人の小さい通販会社だったのですが、一緒に作った広告がすごく当たって売り上げが急速に伸びたんです。毎週、定例で打ち合わせをしていたのですが、行くたびに「今週入った新人です」と、新入社員を紹介してくれるんです。それがすごくうれしくて。自分も関わった広告で商品が売れて、5~6人だった会社があっという間に20~30人の会社になって。買ってくれたお客さんからも「この商品を買ってよかった」という声が届いて、これは最高の仕事だな!と。

また、僕は愛媛県出身で、地方にどう貢献するかということも考えていて、入社の面接の時に内藤から「地方で起業するなら通販のビジネスはいいぞ」と言われたことを思い出したんです。そのときはピンときていなかったのですが、担当の通販会社の成功を見てその意味が分かってきた。そのときに、自分は通販ビジネスで起業しようと思い立ちました。そこで、これからはEコマースの時代なのでEコマースの勉強をしようと考え、内藤に「申し訳ないです、1回辞めます」と伝え、Eコマースの会社に転職しました。

-一度、外に出たのですね。

渡邊:そうなんです。ただ、Eコマースについての勉強はできるものの、それが起業につながるわけではないので、悶々とした気持ちも抱えていました。そんなときよく内藤が飲みに誘ってくれて。ファインドスターを離れている間、4回一緒に飲みに行きましたが、4回目のときに「お前、起業すると言ってウチに入ってきたけど、いつになったら起業するんだ?」と問われて、自分でもどうしていいか分からないときだったので「まだお金が貯まっていないので」とか、適当な返事をしたんです。そうしたら「金なら俺が出資するよ」という話になり「やるのか、やらないのか、どっちなんだ」と。そこまで背中を押してもらったので、これはやるしかないと腹をくくり、Eコマースの会社を退職し、起業しました。

 

・・・「第四回 ”事業”ではなく”人”への投資」へつづく。

エントリー インタビュー一覧