<代表対談><br>~”事業”ではなく”人”への投資~<br>ファインドスターの軌跡 Vol.4

<代表対談>
~”事業”ではなく”人”への投資~
ファインドスターの軌跡 Vol.4

  • ファウンダー/株式会社ファインドスターグループ代表取締役

    内藤 真一郎

    代表取締役社長

    渡邊 敦彦

第四回 ワンスター創業からネット広告代理店へのモデルチェンジまで

 

-ワンスターの事業は、どのように始めたのですか?

渡邊:規模は小さいながらも化粧品やアパレルを仕入れて売るEコマースを行いました。例えば美容液を30本仕入れてデスクの脇に置いておき、注文がきたら自分たちで夕方から梱包して出荷する。本当に小さいビジネスです。自分たちで広告も作り、少しずつ売り上げも伸びてきたんですけど、気がついたら売れば売るほど赤字になる状態に陥っていて(笑)。ビジネスモデルが全然ダメだったんですね。半年で残金が100万円くらいになってしまい、このままいくとあと1~2カ月で倒産という状況になっていました。

ただ、一度Eコマースで起業すると言った手前、途中で変えるのはかっこ悪いという変なプライドがあり、どうするか悩んでいたところで内藤に呼ばれて、一言「俺は事業に投資したんじゃない。渡邊に投資したんだよ」と言われました。それがすごくグサッときて、自分の見栄とかプライドに執着していたことを反省しました。現在、ワンスターの代表取締役になっている千葉裕介は、創業して2週間目で誘ってるんですよ。給料も出ないようなところから手伝ってもらっている彼が、少なくとも食えるような状態にしなければならないと考えました。

-軌道修正を行なったのですね?

渡邊:そうです。自分はファインドスターでずっとB to Bの営業をしてきました。ここに勝負をかけようと。ファインドスターが持っているリソースも活用させてもらって。それまでは、出資してもらって、さらに世話になるという状態に引け目を感じていたんですけど、そんなことを言ってる場合じゃないと。ようやく腹がくくれて。ただ、ファインドスターと仕事の内容がぶつからないようにしたかったので、ファインドスターが強みとしている通販業界・Eコマース業界に向けた、ファインドスターが扱ってないサービスは何かと考えたら、インターネット広告だったんです。ファインドスターは、インターネット広告代理業はまだやってない。しかも、これから伸びるだろうと。そうして、通販業界に特化したインターネット広告代理業をスタートしたのが、2009年の春でした。

-内藤さんの「事業に投資しているのではなく人に投資している」という言葉が決め手になっての軌道修正だったんですね。

内藤:ええ。創業時の事業、あり得ないビジネスモデルだったので(笑)。

渡邊:(爆笑)

-分かっていたのですか!

内藤:事業計画を聞けば聞くほど、まぁまぁたぶんすぐダメになるだろうなとは思っていました。ただ、最初はみんなそんなもんだと思っているので。やったことのない人がいきなりすごいものを作れるわけがないし、やっていくうちに気づくものだろうと、そう考えていました。

-残りお尻に火がついた状態での軌道修正です。今度こそ成功させなければなりません。その時にどう動きましたか?

渡邊:資金が尽きて倒産するまで残り1~2カ月しかない状況になり、いかに短期間で利益を上げて生き残るかという、この一点に絞って、何だったら売れるかを考え抜きました。絶対買ってくれるもの、検討するのではなく、営業に行ったらその場で即決してくれるサービスでないとダメだと。それをリサーチするために、すぐにファインドスターの営業に同行して、インターネット広告で何に困っているかということを聞いて回りました。すると、アフィリエイト広告(商品を紹介しているブログやSNSのリンクから売り上げが上がった場合、紹介しているブログやSNSに報酬を支払う仕組み)に困ってるという声がちらほら出てきて、いくつかの共通点も見えてきた。いくつもの企業にこちらからその話をすると、同じように困っているという話が出てくる。これは間違いなくマーケットがあるなと思いました。

-アフィリエイト広告の、どのような点に困っていたのですか?

渡邊:アフィリエイト広告は、ほぼすべての通販会社・Eコマース会社が導入していましたが、うまく運用して業績を伸ばしている会社が全然なかったんです。その理由はいくつかありますが大きく2つ。1つは単純にアフィリエイト広告を出稿するだけでは購入までつながらない。もう1つはポイントサイトに出稿すると購入まではつながるがリピート購入が生まれない。つまり、アフィリエイト広告は成果報酬のプロモーションのため、極めてリスクが低い広告であるものの、運用が最大のポイントであり、そこに力をかけられないことがクライアントが広告を成果につなげられていない原因だということが分かり、運用を代行することを考えました。

しかし、自らサービスを構築する時間も資金も残されていません。そこで、運用代行を行っている会社を探して代理販売させてもらうおうと考えました。よい会社を見つけて会いに行ったのですが、そこは少数精鋭で拡大志向を持たない会社で、「インターネットのことを何も分かっていないお前らには売らせない」と門前払いされてしまったんです。ただ、最後に残された道だったのでそこで食い下がり、代表の方がお酒好きであったことから1カ月毎日飲みに付き合いました(笑)。

-それはハードですね(笑)。

渡邊:その甲斐あって最後には「分かった。代理販売してくれ。」と。その翌日に資料が届き、倒産まで待ったなしだったので資料が届いたその日からファインドスターの営業への同行と電話営業を開始しました。予想通り反応がよく、ギリギリのところで生き残ることができました。その後も­­売上は順調に伸び、2年間は主力事業として行いました。

ただ、マーケットの大きさから考えると、アフィリエイトの運用代行だけでは、いけても年商15億くらいだなというのが見えてきました。50億、100億を目指すには、このままではいけない。やはりインターネットの王道はYahoo!のブランドパネルに代表される純広告だと考え、純広告を扱うネット広告代理店にモデルを変えていきました。

 

・・・「最終回 世界で一番、起業家とベンチャー企業を創出する」へつづく。

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